OCEAN TOKYO 新時代

2013年に誕生し、圧倒的な存在感を放つ『オーシャン トーキョー』。
数多くの男性から支持され、美容業界の枠を超えて躍進し続ける同サロンだが、2023年に10周年の節目を迎えた。そして今、新たな世代の活躍が注目されている。今連載では次世代の4名によるOCEAN TOKYOの新たな姿に迫ってみたい。

photo: Miho Fujiki illustration: Tetsuya Kobayashi
text: Akiko Sugiura model: Keisuke

これまで見たことのないヘア作品をつくりたい。

黒髪でハイウェイトのウルフ。モード感やセクシーさを纏いながら、どこか芯の強いルードさを感じさせる小松嵜さんの今作品。
「カットが好きですね。僕自身はいろんなヘアをつくりたいという思いが強くて、一時期はフェードやスパイキーなベリーショートの短髪で攻めようと考えたこともありましたが、今はとにかくデザインの幅を広げて可能性に挑戦したい気持ちです」と語る。

2018年にOCEANに入社して4年半、小誌でもおなじみの七五三掛氏のアシスタントを務めた。七五三掛氏の職人気質な作品創りへの姿勢、技術へのこだわりを間近で見て学んできた。

「七五三掛は海外のヘア作品をよく見るのですが、僕も気づいたらそうなっていて。そこから得たものを生かし、“これまで見たことのないヘアをつくりたい”と思っています。今日の撮影ではハイウェイトなセンターパートという新しいバランスに挑戦。今打ち出している、ボリュームや立ち上がりを操作する『スポットパーマ』とゆったりとしたカールを加えながら、エッジィさを前面に出しつつ、色気も忍ばせています」

デビューから程なくして売上げやSNSなど手応えを感じたタイミングに、陽介氏が率いる技術部のメンバーにも選出された。技術へのこだわりと自信に磨きをかけているが、その原点はデビュー直前の半年間にあるという。

「アシスタントの頃、ウィッグのカットには早く入れたものの、モデルカットに進むのに時間がかかって自信をなくした時期もあって。デビューの前は毎日朝7時から明け方4時頃までずっとお店にいましたね。1日2、3人のカットモデルを切り、半年で200人近くをカットしました」

それでもつらいより楽しいが勝ったという、根っからの“カット好き”。そんな小松嵜さんが「絶対に来ます」と仕掛けているスポットパーマ。次のブレイクヘアとなる日もきっと近い。

OCEAN TOKYO Shibuya JINNAN

小松嵜真弥

こまつざきしんや。『オーシャン トーキョー シブヤ ジンナン』スタイリスト。1998年生まれ。茨城県出身。早稲田美容専門学校卒業。2022年10月にデビュー。半年後の2023年3月にshibuya JINNAN店オープニングメンバーとして立ち上げに参加。カットを得意とし、技術部にも在籍する。

サラサラの直毛。髪質は細く柔らかいため、カールが散らないように、かつリッジを効かせていきたい。

ニュールードへ導く3つの押さえどころ。

黒髪、前下がり、ハイウェイト。エッジの効いたベースに
ツイストパーパスとスポットパーマで柔らかさを加味。

新鮮さをもたらす
ハイウェイトのシルエット

センターパートといえばマッシュが定番だが、相反する高めウェイトで旬度を引き上げる。高い位置からグッと締まる前下がりでエッジを効かす。

ハイウェイト、かつスクエアに切る

アンダーを切り込み、ハイレイヤーでつなぐ。まずウェイトのガイドを作り、アウトラインとつなげる。みつえりはスクエアを意識。

バックサイドからシャープな前下がりに

ミドルをややかぶせてカットしたら、順に前に進む。バックサイドをスクエア状に作り、そこから前髪まで角度をつけて前下がりに。

色気を醸し出す、
縦落ちのゆるやかカール

徐々にゆるやかなパーマへシフトしつつ、リッジ感は外せない。今の気分にハマる絶妙な動きは毛先のみねじるツイストパーパスが推し。

カールの入りを弱めるためのねじり
“ツイストパーパス”

通常、ツイストはラフさやチリつきを求めて行うことが多いが、今回の発想は逆。毛先から巻きつける平巻きは、毛先にもっともリッジが効くため、それをゆるめるためにツイストする。毛先のみ半回転ねじり、あとはパーパスに巻く。いい塩梅のほつれ感が生まれ、かつパーマをかけないアンダーセクションとのなじみがよくなる。

ゆるやかに落ち感のあるカールが主役。ツイストのさじ加減、前髪を立ち上げるピン使いがポイントです。

CUT BASE

ツーセクションでつくる
ハイウェイトウルフ。

えり足のアウトラインを設定したら、アンダーでウェイトのガイドをつくり、ハイレイヤーでつなげる。えり足はややスクエア状にし、ミドルをグラでかぶせる。バック〜サイド、顔まわりを前下がりでカットし、トップをレイヤーでつなぐ。

お客さまの心をつかむ!
楽に立ち上がる、“スポットパーマ”

パート部分の根元にシングルピンを留めて立ち上がりをフォロー。扱いやすく、細部へのこだわりと機能性を感じさせ、男心をくすぐる。

薬剤塗布、ピン打ち、ペーパーで固定の3ステップ

全体をパーパス、前髪1線目のパート部分のみリバースに巻く。 クリームタイプの薬剤を塗布し、 シングルピンを垂直に3本挿す。根元にぺーパーを貼って置く。シンプルなテクながら仕上がりは担当者で変わり、発案者として小松嵜さんのオーダー数は群を抜くそう。

RECIPE

全体/1剤はR-21 ウェーブのTGを単品塗布。放置20分で水洗。2剤は過水を10分。
スポットパーマ/1剤はクオラインのT-C 250とCA-C 130を3:1。
15分放置し、中和する前にクエン酸を使用。2剤は泡タイプのブロム酸を使い、10分。

ROD ON
WASH OUT

VOL.01

2024年6月号

Cool Grunge × ハセタク

VOL.02

2024年7月号

Create Natural×増永泰佑

VOL.03

2024年8月号

New Rudo×小松嵜真弥

OCEAN TOKYO WHITE

奥村健司郎

最終回を担当するのはWHITEの奥村。
クールなカットデザインに挑戦します!


※記事は取材時のものです